オリキャラ長編小説【親父幼年期②】
*[オリキャラ長編小説]
【親父幼年期②】
(雪弥目線。要雪弥、暁陸斗、テルル、鯖缶、那月紗良)
鯖缶が学校に復帰して何日かたった。よっぽど腕の良い医師だったのか、まるで事故前にタイムスリップしたかのように後遺症が見当たらなかった。医師とは一体…?
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生徒:おはよう雪弥!
雪弥:おはよう
時は二学期。クラスの一人一人が仲良くなり、俺にもおはようと声をかけてくれる奴も少なくない。
鯖缶:おはようございます皆さん!
鯖缶が教室に入ってきた。相変わらず身体に異常はみられない。さらに、自分に酷い仕打ちをしたテルルにも「おはよう!」と自分から声をかけている。
鯖缶は昔からこうだ。決して生徒に威張ったりいびったりしない。こういう先生は俺も嫌いではない。否、むしろ好きだ。
鯖缶:ん、どうしたんですかユキちゃん?
雪弥:へ?…うわっ!!
そんなことを考えていたら目の前に鯖缶が…!冷静キャラを装っている俺もこれには肩を上げて飛び上がってしまう。
鯖缶:なにか?
雪弥:いえ…なにも!!
鯖缶:ならい……ゲッ
ならいい。そういいかけた途端に鯖缶の顔が歪んだ。振り向くと閉まっていたドアが開いていて、立っていたのは…
紗良:見つけたよ鯖缶、今日こそ覚悟しな!
鯖缶:さ、紗良ちゃん!!
この子は那月紗良(なつきさら)。鯖缶に恨みでもあるのか、鯖缶を見かけては追い回している。高めに結ってある2つ結びからは彼女の高校生ならではの幼さが醸し出されていた。
雪弥:鯖缶、あんた本当に紗良さんには何を…いなくなってるし!
本当、鯖缶は何をしたんだろう。鯖缶が紗良に追いかけられているのを初めてみたのはなんと赴任式!鯖缶は赴任と同時に全校生徒に紗良との因果関係を晒したのだった。
鯖缶:うおあああっ!!待て待てタンマ!!!
紗良:誰がまつか!
そんな声が校外から聞こえた気がした。
…そういえば鯖缶、紗良さんに捕まったことがないよな。紗良さん、運動神経悪くないのに。
鯖缶の運動神経といい、速すぎる回復力といい。そういえば彼女作るまで死なないともいっていたし、意外と生への執着が強いのかもしれない。
過去の記憶を辿っていると教室の扉が勢いよく開けられた。
鯖缶:あ、朝のホームをぉ…はじめますよ……
雪弥:バテバテですね
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陸斗:また追いかけられたんだ、鯖缶先生。
雪弥:ああ、暁きいてたんだ。今月入って三回目。鯖缶、何やったんだよ。
陸斗:さあ?
鯖缶の過去を俺達は知らないが、この学校では生徒にも教師にも人気があるし、前の学校で問題を起こしたとは考えにくい。
テルル:じゃあ紗良さんから告白されたの振ったとかかな?
雪弥・陸斗:それだ!!
灯台下暗し、これは盲点だった。鯖缶は赴任のとき、紗良のことと共に顔の良さでも話題になっていた。
キリッとひきしまった顔、他の男よりも一段と白い肌、声や性格も…悪くない。授業(世界史)もわかりやすいし、教師よりも俳優のほうが適職だと思うほどだった。毎日過ごしてきたせいかすっかり忘れていた。
テルル:問題も解決したし帰ろうか、明日は死のサブジェクトフェスティバルだろう。なあ暁。
陸斗:何故俺にふるんだ!
雪弥:暁、珍解答期待しているからね!
陸斗:雪弥まで!!
死のサブジェクトメドレー、それはまた次のお話。